Monochrome Platinum Print

「chirdren's corner」 ENGLAMD,2011

Sacred Japanさんより、プラチナプリントについてのインタビューを受けました(2021年5月)動画はVimeoにアップされています。前編の後に表示される画像をクリックすると、Vimeoのページが開き、そのまま後編をご覧いただけます。

プラチナプリントとは…

 インクジェットプリンターから出力するのではない、従来からのモノクロプリントは、シルバーゼラチンプリントと呼ばれます。これは銀粒子の感光性を利用したものであり、画像は銀粒子で形成されます。

 これに対してプラチナプリントは、プラチナ粒子で画像が形成されます。ただし、プラチナプリント制作者の多くは、プラチナとパラジウム(プラチナと化学的性質の近い貴金属)を混合した感光剤を使用するため、その場合、プラチナとパラジウムの粒子が画像を形成することになります。私の制作するプラチナプリントも同様です。

 プラチナプリントの技法は、1873年にイギリスのウィリアム・ウィリスによって発表されました。しかし、プラチナが高価であることや他のプリント技法の利便性に対抗できず、1920年頃には衰退し忘れ去られていました。ところが、1970年代に入ってからこの技法がアメリカで復活し、近年は、欧米だけでなく日本でもプラチナプリントを制作する写真家が増えてきています。

その理由はクオリティーの高さにあります。プラチナやパラジウムは、銀よりも化学的安定性に優れた金属であり、プリント保存という観点からは、プラチナプリントに勝るものはないと考えられています。シルバーゼラチンプリントもインクジェットプリントも、保存状態によって数十年どころか数年で変色や退色してしまいますが、プラチナプリントは「紙の寿命の限り画像が保たれる」と言われます。

また、ほんの少し褐色を帯びた色調とやわらかいトーンが生み出すノーブルな美しさは、初めから時を経たビンテージプリントのような雰囲気を持っています。写真が他の何よりも記憶と結びつきの深いアートであることを改めて認識させてくれるものです。

ただし、その制作には、いくつかの困難な点があります。

まず、市販の印画紙がないため、無漂白、無酸性等の高品位な支持体(紙)に、複数の薬品(シュウ酸第二鉄、塩化白金酸ナトリウム、塩化パラジウムなど)を調合した感光剤を塗布しなければなりません。薬品調合のレシピは、様々な条件によって変化するため、データを取りながら経験を積むことが必要です。しかし、このように自作する印画紙は、紙のテクスチャーをそのまま活かすこともでき、感光剤を塗布する刷毛の跡も良い味わいとなって写真を引き立てます。

露光については、印画紙の感度が低く、コンタクトプリントしかできない(つまり、引き伸ばしができない)ため、プリントしたい大きさの画像と同じ大きさのネガを必要とします。ここ数年、デジタルネガが普及してきたことにより、トーン調整を除けばネガの制作は難しくありませんが、感光剤が紫外線光源にしか反応しないため、露光機も自前で用意する必要があります。私は、日焼けマシーンを利用して作りました。

オリジナルプリントをじっくり味わうことが写真鑑賞の醍醐味であると私は考えます。そこには、パソコンのモニターやデジタルフォトフレームにはない、実在する「モノ」としての写真の姿があります。プラチナプリントは、写真鑑賞に最もふさわしいプリントです。


2016年10月8日

地域情報誌「おらほよみうり」で、個展の記事を掲載していただきました。

2016年10月21日

信濃毎日新聞「東信」欄で、個展の記事を掲載していただきました。



2015年10月17日

地域情報誌「おらほよみうり」で、プラチナプリントや個展についての取材記事を掲載していただきました。


2015年10月21日

信濃毎日新聞「信州ワイド」欄で個展の取材記事を掲載していただきました。




過去の個展DM




私自身のモノクロプラチナプリント写真作品は、個展等で販売します。このほか、依頼制作も承ります。


プラチナプリントの依頼制作について

 お手持ちのデジタルデータ、ネガ、写真から、プラチナプリント制作を承ります。

 プラチナプリントを扱うラボは全国で数えるほどしかなく、ほぼ東京に集中しています。そして高価です。「Photo & Rose」で は、サイズやプリント用紙をお任せいただく代わりに、比較的安価で提供します。 

 プリント用紙はA4サイズ、画像そのものは、作品の元データにより多少の変動はありますが、136 ㎜ × 205 ㎜ 程度となります。

 費用は、1枚あたり30,000円です。額装をご希望される場合は、プラス8,000円で承ります。額は太子サイズ(288×379)の極細アルミフレーム(ブラックウッド塗装)で、マットはブックマット仕上げです。シンプルで美しい仕上がりになりますので、おすすめです。郵送の場合、梱包および送料として一律2,000円加算となります。

 まずは、お問合せください。


プリント制作からお引き渡しまでの流れ

  1. データのお預かり(手渡しあるいは郵送)
  2. デジタルネガ作成(お預かりするデータが、ネガフィルムや写真プリントの場合は、スキャンしてデジタルデータに変換してからのデジタルネガ作成となります)
  3. プリント(露光、現像、定着)
  4. 乾燥・フラットニング
  5. 額装(ご希望される方)
  6. お引き渡し(受注後、3週間程度かかります)

 *不明な点があれば、遠慮なくお問合せください。