作品用の写真を撮るとき、「このバラについては、これ以上の写真は撮れない。これが決定版!」と思えるときと、「この写真もいいけれど、もっと違う写真が撮れるかもしれない」と感じるときがあります。
メアリーローズは後者でした。
バラの作品群の制作については、撮影上の技法や背景処理に関係するPC作業の技法も大切なのですが、それら以上に大切なことは「良いバラを選ぶこと」です。
良いバラというのは、花だけの問題ではありません。どんなに花が美しくても、葉が焼けていたり病気に侵されていてはだめです。葉と茎のバランスが悪ければ絵になりません。ある種類のバラの写真を撮ろうとするとき、作品にふさわしい花、茎、葉の組み合わせを見つけるために何年も待たなければならないことがあります。
また、バラは私の作品のためにあるわけではないので、育てているバラに負担がかかるような枝の切り方をしないことも大前提です。メインとなるシュート(枝)に、良い花がついても、簡単にバッサリ切ることはできません。
ですから、良い写真を撮るためには、愛情込めて、自らの手で、株の充実した良いバラを育てなければならないのです。
このメアリーローズは2度目の作品です。シュラブタイプの樹形でステム(花首)が短く、絵になりにくかったのですが…枝の切り方や花の並びを工夫したら、素敵な作品になりました。