下の写真は、2016年8月17日(水)~23日(火)、伊那市の「かんてんぱぱホール」にて開催したバラの写真展における会場の様子を示すものです。
緑あふれる素晴らしいロケーションの中、地元の方以外にも、大阪、愛知、東京、神奈川、静岡、埼玉、山梨、群馬などから、大勢の方々にご来場いただきました。一般のお客様をはじめ、写真家や画家、ギャラリー関係者、バラ園関係者、報道関係者の方々との交流は非常に有意義なものでした。
バラの写真作品について
私の制作するバラの作品群は、第60回写真県展(2010年・長野県)組写真の部において、特選1席を受賞した作品を発展させたものです。
2011、2013、2014、2015、2016、2017、2019に、のべ10回の写真展を開催してきましたが、現在、作品数は100点ほど(バラの種類としては85種類)になっています。これら写真作品における着想の原点は、「バラの画家」と呼ばれ、フランスの宮廷などで活躍したピエール・ジョゼフ・ルドゥーテのボタニカル・アート(植物細密画)にあります。
しかし、私はボタニカル・アートを写真で再現しようとしたわけではありません。上に掲載した、板見浩史さん(フォトエディター)による作品評(信濃毎日新聞より転載)にあるとおり、ボタニカル・アートで描かれたバラを超える美しさやリアリティーの表現を目指すのでなければ、このような写真を撮る意味はないと思っています。また、現代ではルドゥーテの時代と比較にならないほどバラの品種は増え、その数は3万種以上と言われています。バラを愛する者のひとりとして、それら美しい現代バラの姿を写真によって描くことに使命感すら覚えているのも事実です。
作品鑑賞の際に注目してほしいのは、バラの細部です。
ガーデンローズをそのまま写真に撮る…もちろん、そのように撮影された写真も、それなりにバラの美しい姿を伝えるものでしょう。しかし、それは「記録」の域を出ることはありません。なぜなら、現実に似せようと撮影された写真のバラは、本物のバラの美しさを決して超えられないからです。そのような写真を見るより、本物のバラを見た方が何倍も素晴らしい。
私がボタニカル・アート的様式でバラの写真作品を制作する理由は、記録ではなく、アートとしてのバラの写真を考えているからです。
バラの魅力は、何と言っても「花」です。花色、花姿、香り、ほとんどの人は花に注目します。しかし、一方で、花弁を包むガクの見事な造形、棘のラインや細かい刺毛、葉の形や色・光沢、茎の色、他にも魅力が尽きません。屋外で実際に咲いているバラを見るときにはなかなか注目されない、こういった細部の魅力に気づいてもらえるよう表現することも写真制作の大切な目的となっています。様式はそのために必要なものであり、私自身は、「バラのスタジオポートレイト」を撮影しているつもりです。細部が明確になることと合わせて、ポートレイトならではの「気品」が生まれます。
技術的なことに関して言えば、撮影時には、全体にシャープなピントを結ぶことと正確な色再現を追求しました。撮影後は、フォトレタッチソフトを用いたていねいな背景処理を行い、和紙(麻と楮をミックスした和紙および竹を原料にした和紙を用いています)に顔料インクで1枚1枚プリントしました。
スタジオワークには細心の注意を払っています。しかし、それ以上に大切なことは、「良いバラを選ぶこと」です。
私はこれまで、自宅の庭で150種以上のバラを育ててきました。その経験があるからこそ、最も美しく咲いている一輪を選ぶことができます。
それぞれのバラの美しさや気品を感じていただけれるような作品制作を続けていきたいと願っています。
写真をクリックすると大きくなります。スライドショーもできます。(画像転載禁止)
編集中につき、しばらくお待ちください。
Post Card ポストカード
Strap ストラップ(現在、販売休止中です)
キャンディーポット(現在、販売休止中です)
写真プリント(太子サイズ379×288㎜ 白木枠の額装付き)